一宮高校のコアSSH「全国的な規模での共同研究(コンソーシアム型)」
※ 今年度の研究発表会のお知らせは
コチラをご覧ください。
《研究テーマ》
「小・中・高校と天文台との連携による光害研究と小中高校生の科学的資質の育成」
連携機関が連携して光害の実態を全国的に把握・研究し、その活動を通じ小中高生の将来の科学者としての資質向上を図る。
《研究の主なポイント》
(1) これまでの事業によって得られた成果
ア 先進的連携方法の確立と光害研究
(ア) 全国の高等学校とのコンピュータネットワークを活用した連携
SSH校を始めとする全国の12校の高等学校と研究連携をした。全国に広がった夜空の明るさ観測チーム各校の
データをコンピュータネットワーク上で共有し、メーリングリストでの活発な議論を通して、解析・検討を進めるといった先進的な手法を導入することができた。
(イ) より広域的な「夜空の明るさマップ」の作成
中部地区周辺に限定されていた観測地点をより全国的に広げることにより、広範囲の「夜空の明るさマップ」を作成することができた。また、観測データが増えることにより、シミュレーションによる予測値と実際の観測結果との比較ができた。
イ 科学的人材の育成
(ア) 事業を担当した地学部生徒の変容
本事業では、教員の指導の下で、業務のほとんどを地学部の生徒に主体的に取り組ませている。研究方法の検討、研修会の運営・司会などである。このような経験により、生徒の次の能力が高まっている。
・リーダー性 ・協調性 ・発想力や企画力 ・論理的思考能力
(イ) 観測・発表に参加した小中学生や高校生の変容
本コアSSHでは各連携校近隣の小中学校に参加を呼びかけ、
25名の小中学生が観測に参加し、有効なデータを得ることができた。平成24年1月22日の研究成果発表会においては、
3名の小中学生がレベルの高い研究を発表した。
(2) 平成24年度新規コアSSH事業(本研究)の方針
小中学校と高等学校の研究連携は小中学生の科学的資質を伸ばすとともに、高校生のリーダー性や科学的能力も伸ばすことから、平成24年度は光害の科学的研究と小中高校生の科学的資質を伸ばす手法の研究を2本の柱にして本研究を進める。
《研究内容》
(1) 研究の方法
ア 光害の学術的研究
(ア) 研究機器
夜空の明るさを「等級/1平方秒角」で測る装置、スカイクオリティメーター (SQM-L,SQM-LEの2種類)を利用する。この装置を事前に個体差調査し、較正値を決めた上で連続観測機を全国の提携先に設置し、誤差の小さな夜空の明るさの連続観測をする。また、携帯機を小中学生用の貸出機とし、夏休み期間を中心に観測に参加してもらう。
(イ) 連携の拡大によるより広範囲の観測網作り
現在観測ポイントの空いている東北・北陸地方を中心に連携を拡大し、携帯機を使った小中学生の観測者参加も大幅に引き上げる。これにより、より詳細な光害の分布が明らかになる。連携の拡大は新規参加の高校を募集する他に、公開天文台に協力を求める。
(ウ) 小学校、中学校、高等学校及び公開天文台との共同研究の方法
得られたデータをWebで共有し、処理・解析方法をメーリングリストを利用した協議を行いながら、研究を進める。共有データは、各連携校が自由にダウンロードでき、本校生徒が開発したエクセルのマクロツールで、必要な部分をグラフ化できる。
(エ) 局地的多点観測によるより深い考察
新たに40台のSQMを導入し、一つの地域で生徒40人による一斉自宅観測を実施し、条件を揃えた観測を実施する。さらに、この40台のセットを各連携校でリレーし、各連携校付近の多点観測による詳細なデータから局地的な夜空の明るさ分布を明らかにする。
イ 小中高校生の科学的資質を伸ばす取り組み
本校の地学部では、コアSSH事業の企画、運営等の作業を生徒に任せることにより、科学者の資質を伸ばしてきた。また、小中学生は高校生からの継続的な指導を親近感を持って受け入れ、高校生も教えることでより理解が深まった。この手法を各連携校へ広げる。
(2) 研究のスケジュール
平成24年 |
4月 |
機材購入等の手続き
連携校・天文施設の決定
(Astro-HS、JAPOS* のMLで呼びかけ、SSH校に限らず募集) |
5月 |
機材納入、観測ケースキット・マニュアル等の準備、各機器の個体差調査
日本地球惑星科学連合2012年大会高校生セッション ポスター発表
共同研究テーマの募集
21日金環日食に向けて、小中学生対象研修「金環日食を見よう」 |
7月 |
合同研修・研究協議会(1泊2日)
各連携校・天文施設で観測開始、一部の連携先へ設置訪問 |
8月 |
小中学生の観測参加 |
9月 |
観測成果報告、夜空の明るさマップの改訂 |
12月 |
研究発表会 優秀な発表を日本天文学会に申込 |
平成25年 |
3月 |
日本天文学会ジュニアセッションで発表 |
5月 |
日本地球惑星科学連合2013年大会高校生セッション ポスター発表 |
* Astro-HS・・・高校生天体観測ネットワーク、JAPOS・・・日本公開天文台協会
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一宮高校コアSSHに関するお問い合わせは一宮高校(担当:高村)
youza(at)nifty.com まで((at)を半角の@に変えて)お願いいたします。